ごあいさつ
初めまして。プロデューサーの茅原といいます。アニメ関係の業務を中心に仕事しています。胡散臭い肩書の代名詞になっている「プロデューサー」という立ち位置ですが、世に数多いらっしゃるプロデューサーと同じく、ナンデモ屋という理解でよろしいかと思います。進行管理、アイディア出し、デザイン、その他山のようにある雑務に日々忙殺されております。
これからアニメの話を連載していくのですが、このクソ忙しいのに仕事を増やしてくれちゃう社長にはまったく勘弁して貰いたいと思う一方、新しい地獄を新鮮に感じております。
私自身の話を少しすると 32歳 男 です。
なお、私自身が発信する全てのことに関しまして、私個人が勝手に思い、一方的に書きなぐるものですから・・・初めに謝っておきます。ごめんね!
「日本のアニメっていったい何よ」
何よ!?って、じつはよくわかんないのが正直なところ。だって長いんですもん。歴史が。地味に。
それは鉄腕アトムから始まった
それじゃ日本のアニメっていつからやってるのかっていうと、「鉄腕アトム」を皮切りにテレビアニメシリーズがスタートしたのが1963年。半世紀もやってるんですよ?アニメって。十代のころに鉄腕アトム見てた少年が、もう還暦越えてんのねー。
そんなこんなで現在に至るまでテレビシリーズ、劇場作品含め大体4000作品以上が量産されてきたんです。作品数ですよ?話数じゃなくて。
私も年間30作品くらいを視聴して15年以上経ちますが、作品全体の1/10も観れていない計算です。「なんでそんなに数があるの?」「アニメって作るの大変なんじゃ」、そう思うでしょう?
ガラパゴス!?日本のアニメ
ここからは日本独自のアニメ製作方式について少し触れていきましょう。
日本のアニメを説明するのに避けて通れないのが「リミテッドアニメーション」と「フルアニメーション」というやつで、日本は「リミテッドアニメーション」の方式をとっています。
それぞれの違いを簡単に説明すると、一秒間の間に描かれる絵の枚数と動かし方が違うんです。
「フルアニメーション」というのは一秒間に最大で24枚(30枚だったりも)絵が描かれおり、すべてのコマで一枚の絵になるように描かれます(動かない部分も同じ線をなぞる)。白雪姫を初めとしたディズニーが採っていた方式です。(日本のアニメもテレビシリーズが始まる前はこの方式でした)
一方、「リミテッドアニメーション」は「虫プロダクション」が導入した方式であり、文字通りリミテッド、「制限」を設けて製作されるアニメのことを指します。一秒間に12枚だったり8枚だったり、止まって話すキャラクターは顔一枚だけ口だけ別で描いて終わり、と徹底的にコスパ重視で「フルアニメーション」のおおよそ1/10くらいの作業量で作品を上げられますから、それこそ週一回のテレビ放送に間に合わせる為の方式といえますね。
動く部分だけを描いて、他のパーツは止まったまんま
初めこそ量産するための「リミテッドアニメ」でしたが、他社もそれに追随することで日本のアニメ全体が独自のものとして進化を遂げていきます。「制限」された方式が成熟した技術により「日本独自の個性」に昇華されていったわけです。
少ない枚数で豊かな動きを表現するために、(ツメ)(タメ)という緩急表現技術が発達したのが一つの例です。(近いうち特集しますね)
他にも、担当キャラクター制度を取っているディズニーなどと違い(自分の担当するキャラクター以外を描かない)、どんなキャラクターでも描く必要のある日本のアニメにおいては、作画マニュアルが充実し、培った技術がアニメーター同士で共有されていく構造が生まれました。
そんな日本産のアニメーションですが、じゃあ制作環境はどのように変化したのでしょう?
最新アニメの作り方
電車が600kmで走る時代にも関わらず、殆どなんも変わってません。
「絵はある程度、ソフトが自動で描いてくれるんでしょ!?」
――――― 一枚一枚手描きです。
「モニター画面に直接ペンで描くやつで仕事してるんだよね!?」
――――― 鉛筆と紙です。
「さすがに資料とかはデータでやりとりしてるでしょ?」
――――― 週刊少年誌と同じくらいの厚さで手元に参ります。PC持ってない人も多いので。
おどろきますよね?
一部大手でデジタルでの作画を推進しておりますが、9割方の作品で未だ紙と鉛筆が使われており、要所要所でアナログ作業がいまだに根強く残っているんです。ちなみにアニメーターに請求書を書いてもらうと、かなりの確率で手書き伝票が送られてくるはずです。
唯一変わったのが絵(セル画というやつ)に色を塗る作業。そしてそれを画面に合成する作業。これが手塗りからPC彩色、カメラ撮影からPCでの合成、編集になりました!これくらいなんです。
写真は一分程度のアニメを作った際の原画の束です。200枚程度あります。
ただ現状ペーパーレスとの端境期にあり、業界として順次移行されていくという方向に向かっているようですが、正直ターニングポイントはこれまでもいくつかあったわけです。都度、遅々として進まなかった歴史がありますから難しい問題ですね。
最新のアニメも日本独自のアナログの技術が息づいていて面白いのですが、一発ドカンとイノベーションが起こって日本のアニメが様変わりするってのも見てみたいなとはおもいます。
なにか息切れしてきたので、このへんでおわりますが、
以上のようなかたちで簡単ですが、第1話.「日本のアニメっていったい何よ!?」をお送りしました!
これからがんばって続けていきますのでよろしくお願いいたします。
茅原